1 カトリック教徒は、イエス・キリストの母である聖母マリアへの献身の表現として、また彼女の神への取り次ぎを求める手段としてアヴェ・マリアを祈ります。この祈りはカトリックの伝統で最もよく知られているものであり、世界中の多くのキリスト教徒の信仰と生活に深く根付いています。主に2つの部分から構成されるアヴェ・マリアは、救いの歴史におけるマリアの役割の重要な側面と、信者にとっての彼女の霊的な重要性を反映しています。
祈りの最初の部分「アヴェ・マリア、恵みに満ちた方、主はあなたとともにおられます」は、受胎告知の際に天使ガブリエルがマリアに挨拶した言葉（ルカによる福音書1章28節）を指しています。この箇所で、ガブリエルはマリアを「恵みに満ちた方」と呼び、彼女が受けた特別な神の恵みと、救い主の母となる役割への準備を示しています。この神の挨拶は、マリアへの神の特別な恩寵を反映し、彼女がイエス、すなわち神の子を身ごもり、生むという特別な使命のために選ばれたことを認めています。したがって、アヴェ・マリアの最初の部分は、マリアの特別な恵みと救いの歴史における彼女の役割の受け入れを称えています。
祈りの第二の部分「あなたは女の中で祝福され、ご胎内の御子イエスも祝福されています」は、エリサベトがマリアに言った挨拶（ルカによる福音書1章42節）から取られています。いとこのエリサベトを訪ねたとき、マリアは彼女の胎内に救い主を宿していることで祝福され、認められました。この祝福は、神の母としてのマリアの役割を強調し、エリサベトだけでなく、マリアを「女の中で祝福された方」と見なし、従順と信仰の模範とする信仰共同体によって彼女の特別な役割が認められていることを確認しています。
祈りはさらに「神の母聖マリア、私たち罪人のために、今も死を迎える時もお祈りください」という嘆願で続きます。この願いにおいて、カトリック教徒はマリアを、彼らの意向をイエスに取り次ぐ仲介者として認識しています。カトリック教徒はマリアを神として崇拝するわけではありませんが、すべての信者の霊的な母として、彼女がその子であるイエスに取り次ぐ特別な役割を持っていると信じています。イエスは十字架上で亡くなる際、使徒ヨハネにマリアを母として託しました（ヨハネによる福音書19章26-27節）。この箇所は、マリアがすべてのキリストの弟子たちの母として理解される起源と見なされ、彼らは慰め、助け、霊的な保護を求めて彼女に近づくことができます。
さらに、アヴェ・マリアを祈ることは、カトリック教徒がキリストの生涯の神秘を黙想し、教会のすべてのメンバー、すなわち生者とすでに神の御前にいる者たちとの霊的な一致である聖人の交わりを強める方法でもあります。この取り次ぎの概念は、謙遜と信仰の実践であり、信者はキリスト教の歩みにおいて成長するためにマリアの助けを求め、常にイエス・キリストを通して最終的な献身を神に向けます。
特にロザリオの文脈でアヴェ・マリアを祈ることは、カトリック教徒がキリストの生涯と信仰の神秘を黙想し、黙想と霊的な刷新の体験を促進します。この実践は、信者と彼らの霊的な母との結びつきを強化し、人生の困難に立ち向かい、永遠の命に到達するために彼女の助けを求める方法です。
聖書の箇所に加えて、キリスト教初期の世紀から聖母マリアへの崇敬と祈りがあったことを示す歴史的な記録があります。マリアへの祈りを含む最も古い既知の文書の一つは、約3世紀にさかのぼる「あなたの保護の下に」（Sub tuum praesidium）です。この古代のキリスト教の祈りは、マリアの保護と彼女の取り次ぎに対する信者の信頼を明らかにし、「あなたの保護の下に私たちは避難します、神の聖なる母よ；私たちの祈りを必要の中で軽んじず、あらゆる危険から常に私たちを救い出してください、栄光に満ちた祝福された乙女よ」と述べています。
この祈りが古代からキリスト教の実践に存在していることは、マリアが教会の初期から取り次ぎ手であり、霊的な母であったことを示しています。この文書は、今日私たちが知っているようにアヴェ・マリアの祈りが構成されるずっと前から、マリアの取り次ぎを求め、キリスト教徒の生活における彼女の特別な役割を認識する実践がすでに存在していたことを示しています。これは、信者が常に彼女に寄せてきた信仰と信頼に根ざした、マリアへの献身が教会の伝統において継続していることを反映しています。
したがって、アヴェ・マリアの祈りは、この初期の崇敬の継続であり、信者のマリアとの霊的なつながりを深めます。彼女は守り、導き、取り次ぐ母として見られ、この役割は初期の世紀から認識され、教会の歴史を通じて強固なものとなりました。
